被災後は住宅の復興が急務であるとの認識から、それまでの都計審の議論をスピードアップし、住宅の大量供給を早急に行なおうとの方針が打ち出された。阪神電鉄の海側にベルト状に広がっていた多くの工場も被災して空地になり、その跡地にもマンションが建設された。政府は特例措置として被災者の住宅取得のための助成制度を定め、住宅購入の際に低金利の「災害復興住宅資金融資制度」を設けた。三五年間固定で一パーセントという破格の低金利だった。その制度を利用して工場跡地に建設されたマンションを購入した人もいたが、神戸を離れ、大阪にマンションを購入した人も少なくなかった。また、兵庫県内では、私が小学校の頃遠足で行った宝塚の丘陵地帯や、JR福知山線の三肝まで、三五年間固定利率一パーセントの優遇制度を利用して購入できるマンションがぎっしりと建てられた。阪神・淡路大震災後にそこに移り住んだ人は多い。こうして、阪急宝塚線とJR福知山線の沿線が大阪や神戸で働く人のベッドタウンとなった。平成一七年四月に起きた福知山線の脱線事故も、そこに移り住んだ大勢の人たちを利用客として奪い合う阪急宝塚線とJR福知山線が所要時間の短縮競争を行なうことで、ダイヤが限界を超えて過密になったことが原因のひとつになったといえよう。
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