「さか柱」は「さか木柱」とも言われ昔から忌み嫌われてきた。樹木から柱材を採ったら、樹木の下だった部分が柱の下部になり樹木の末部が柱の上部になる。つまり、樹木が自然に立っていた状態で柱材を立てる。これが一般的だ。ところが、上下を逆に立ててしまう場合がある。これを「さか柱」という。目隠しをした現場を訪ねた時に「さか柱」を見つけた。柱には赤い文字で「祝」とか「祝新築」とか「一等」などと書かれている。これは、単にお祝とか部材の等級を表しているだけでなく、「さか柱」に立てられるのを防ぐ意味もある。私が見た建売住宅の現場では、文字が逆さまになっていたのだ。これには驚いた。「さか柱」を忌み嫌う理由はたしかに迷信からきているのだろう。しかし、職人は結構縁起を担ぐものだ。建築に着手する前には、工事の無事完成と安全を願って地鎮祭をする。地鎮祭は神主を呼び、建築敷地の中央に清砂を盛り、青竹にしめ縄を廻らし、鏡や五色の御幣を祭った祭壇を作り供え物をする。神主のお祓いや祝詞の秦上に続いて、工事関係者の玉串の奉莫がある。最後には出席者全員でお神酒で乾杯する。昔ながらの祭事といえばそうだが、地鎮祭に望む職人たちの表情は真剣だ。
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