民家では梁の一本に問題があった。四十五センチ角で長さが八メートルの梁は三分の一がすでに腐っていたのである。屋根からの雨漏りが屋根の下地を通じて梁に伝わり、ゆっくりと腐朽菌が住みやすい環境をつくり、そのあとにシロアリが入り込んで、木材を傷めていた。しかし、教育委員会は、この梁は手斧の跡が実に美しい貴重品なのでどうしても残したいという。この梁を残すためにはどうするべきか、頭をひねって考えた結果、大型クルーザーヨットをつくるための技術を応用して修理をすることになった。まず、腐った部分を撤去し、その空洞にテープ状の木材、ポリエステル樹脂、ガラス繊維、構造用合板を入れ、集成材をつくり上げた。その後、実際に完成後にかかる荷重を八百キロまで載荷して目標の強度が維持されていることを確認した。下から見たのでは、この大手術はまったくわからない。また、歪みゲージ(力のかかり具合を測定する部品)を三本入れて、数十年を経過した後でも強度が確認できるようにしてある。
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